鹿児島県川薩地区における園児のう蝕発生に関連する園児の生活習慣と保護者の意識
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概要
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鹿児島県川薩地区は幼児のう蝕有病者率が高いため,平成15年度から保育園・幼稚園においてフッ化物洗口を導入してきた.本研究では,園児のう蝕発生と園児の生活習慣ならびに保護者の意識との関連および卒園後のフッ化物洗口の継続希望と保護者の意識との関連について多重ロジスティック回帰分析を用い検討した.対象は,平成16年と17年の2回のう蝕検診を両方とも受診し約1年間のう蝕の発生の有無を評価できた園児122名とその保護者とした.評価期間中に新たなう蝕の発生を認めた群と認めなかった群の評価期間終了数ヵ月後における園児の生活習慣ならびに保護者の意識を比較したところ,保護者による仕上げ磨きの実施状況を除き両群間に差が認められなかった.う蝕の発生が危機感となり,園児の生活習慣ならびに保護者の意識が改まった可能性やフッ化物洗口によって全体的にう蝕の発生リスクが低下し,園児の生活習慣ならびに保護者の意識とう蝕発生の関連が検出しにくくなっている可能性などが考えられた.卒園後のフッ化物洗口の継続希望と保護者の意識との関連では,子どもの歯をむし歯にしたくないと強くは思っていない保護者,子どもはむし歯が多いと思っている保護者,子どもに定期的なフッ化物塗布を受けさせていない保護者は卒園後の洗口の継続を強く希望する者の割合が低かった.本研究対象地区の小学校にはフッ化物洗口が導入されていないことから,卒園後に家庭で洗口を継続するよう著者らが推奨しているが,保護者の意識に左右され家庭での実践は普及が難しく,集団でのフッ化物洗口が必要であることが示唆された.
- 2009-10-30