第40次日本南極地域観測隊越冬報告1999-2000
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概要
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第40次日本南極地域観測越冬隊40名は,1999年2月1日から翌2000年1月31日までの1年間,昭和基地で越冬し,第期5カ年計画3年次の観測・設営計画を遂行した.越冬観測の枠組みは第38-39次隊と同じく,定常観測(電離層,気象,潮汐)と,宙空,気水圏,地学,生物・医学の4分野におけるプロジェクト研究観測とモニタリング研究観測から成る.多くの継続観測に加えて,年次計画に従い,新たな観測も開始した.電離層部門では,50MHz・112MHzオーロラレーダ観測およびVLF電波観測を再開した.気象部門では,エアロゾルゾンデを計8回飛揚し,極域成層圏雲の観測に成功した.宙空部門では,第1HFレーダおよびMFレーダのアンテナを更新・新設し,連続運用を開始した.また,新たにナトリウム温度ライダーを設置した.気水圏部門では,温室効果気体の連続観測,エアロゾル観測などを継続した.地学部門では,地震計,超伝導重力計,GPS観測などを維持するとともに,VLBI観測をほぼ月1回の頻度で実施した.生物部門では,沿岸露岩域の湖沼調査(夏期の潜水2回を含む),ならびに小型データロガーを用いたウェッデルアザラシの遊泳行動調査などを実施した.越冬中の内陸調査としては,みずほ基地往復とドームふじ観測拠点(旧名称 : 現在はドームふじ基地)・やまと航空拠点を往復する広域トラバースを実施した.後者の100日間を越えるトラバースでは,物質循環を探る雪氷試料採取,氷床流動量測定のための精密GPS測位,3周波アイスレーダによる氷床内部・基盤地形観測などの成果をあげた.一方,設営関係では,昭和基地整備計画(10カ年)の8年目として,夏隊と協力して第2夏期隊員宿舎建設,300k VA2号発電機と熱源供給システムの更新整備,汚水処理棟設備の立ち上げ,太陽光パネル増設,ヘリポート道路整備などの基地整備作業を実施するとともに,不要建物の解体撤去も行った.越冬期間中は,基地設備の維持管理と安全対策,観測オペレーション支援に力を注いだ.1998年1月に「南極地域の環境保護に関する法律」が発効し,第40次隊から梱包材等の屋外焼却が実質的に全面禁止となった.これらの処理や残置廃棄物を持ち帰るための作業に多くの人手と時間を費やした.第40次隊では合計136t(うち大型98t)の廃棄物を国内に持ち帰った.
- 2011-03-28
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