大学の専攻課程におけるロシア語の学習目標とLL
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概要
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教育機器が開発されるテンポの速さには目を見張るものがある。毎年,夏に開催されるLLAの全国大会では,その時期の,発達した教育工学メディアの活用を中心に,各種の教材に話題が集中する。ここ数年はビデオ装置の改善,普及にともなって,LL教材にビデオ教材を併用した授業形態が実践報告などで数多く紹介されている。学習者の視覚にうったえる教育メディアが,外国語教育のプロセスで焦点を集めたのは,これが最初ではない。今日のビデオが現れるまでには,映画,スライドなどが視覚メディアの主役であった。これらの視覚メディアを利用した教材のうち,今,ビデオ教材に関心が集まるのは,取扱いが簡単なこと,また外国語に限らず,どの教育の現場でも動きのある視覚教材に対する評価が高いことがその理由であろう。教材をビデオ化することによって,提示される教材が分りやすくなることはある。外国語教育にも視覚教材は大いに役立つ。しかし,視覚教材の特性が十分に表れ出るのは教材を提示するときであり,LLで行われる反復練習のときではない。1985年のLLA全国大会のシンポジウムでは,外国語教育に視覚教材がもつ効果,新たな可能性と同時に,この種の教材の限界が指摘された。視覚教材の提示がLL教材の反復練習にとって代るようではLLの効果もあがらない。外国語の運用力を向上させるためには,発話力の練習にもっと時間をかけなければならない。本稿は,4年間のロシア語専攻課程の学習目標と,この目標に達するプロセスでLLがどんな働きをしなければならないかを,昭和59年度に計画し,60年度に改訂したLL教材を例にとりあげて論じたい。
- 外国語教育メディア学会の論文