冬季における共同住宅の室内空気質に関する研究
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概要
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本研究の目的は実在建物を通して室内空気の汚染程度を測定すると共に,室内空気環境に対する居住者の主観反応を調査することにより集合住宅における冬の室内空気環境の実態を把握することである。59〜112m^2の8戸の住宅を対象としてCO, CO_2粉塵濃度を測定し,居住者の反応としては空気の新鮮度感を調査した。調査の結果,CO濃度は居間,台所とも許容値にははるかに及ばなかった。しかし,ガスレンジの使用と在室者の呼吸によってCO_2濃度が増加し,室内空気の汚染が深刻になることが分かった。浮遊粉塵の濃度は基準値に及ばないが,喫煙や在室者の行動によって濃度が変わることが分かった。室内空気環境の各測定要素との間の関連性を把握した結果,CO濃度とCO_2濃度とが比較的強い正の相関関係があった。居住者の主観的反応とCO濃度,CO_2濃度との間に有意な相関が見られるが,CO_2濃度と空気新鮮感の反応とを回帰分析した結果,居住者はCO_2濃度が616ppm 以上になれば室内空気の汚染を感じることが分かった。
- 人間-生活環境系学会の論文