庭園の空間構成と内包性 : 小石川後楽園のデザイン評価(2)
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概要
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前回の論文では,小石川後楽園を回遊した学生の発言と回遊中に写された写真の内容をもとに,庭園の空間構成が与える審美評価への影響について考察し,美しいと判断される空間構成及び時間と空間の体験の審美評価への寄与について明らかにした。今回の論文では,前回に引き続き小石川後楽園について,庭園を回遊した学生としない学生,更に日本人学生と日本に一度も訪れたことのない様々な国籍(米国,ドイツ,フランス,インド,中国)を持つ米国の大学生の意見を比較し,空間の体験,文化,歴史,習慣の審美評価への影響を考察する。考察の結果,景観を評価する際には知識としての情報が重要であること,空間の体験は心理的評価を高めると同時に,空間の評価基準を広げること,そして,千葉大学生は庭園を観賞する際に自然や自然現象を評価の対象にする傾向にあるのに対して,米国の大学生は人為やそこに内包される哲学を評価する傾向があることなどがわかった。
- 1996-05-31