19世紀百貨店空間の考察 : E. ゾラ『Au Bbnheur Des Dames』の空間描写を例に
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概要
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19世紀にフランスで誕生した百貨店は,同時代の様々な現象に共通する,視覚優位の空間であった。そこで見られる新しい知覚を本論では「パノラマ的知覚」と呼ぶが,この知覚の発生とともに人ともの,すなわち主体と客体の間にイメージという実体のない境目が介在するようになった。そしてこのような人とものとの新しい関係が,キッチュと呼ばれるようになる。百貨店を舞台とした,ゾラの「Au Bonheur des Damessは,当時の状況を具体的に知る数少ない手がかりであり,実際の史科的価値とともに,その描写からはゾラ自身が一人の時代の証言者でもあることを伺い知ることができる。本論ではゾラの眼を通して見た百貨店空間を,彼の作品中の描写から考察し,初期大衆消費社会に出現した人とものの新しい関係を一つの19世紀的現象として捉えたい。
- 日本デザイン学会の論文
- 1992-02-01
著者
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