外側から見る宗教空間の囲み : 景観デザインとしての囲み景観の研究(1)
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概要
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本研究は宗教空間の囲みのあり方を景観デザインの観点から分析したものである。本研究により以下の点が解明された。1)囲みは聖域を囲むことにより,囲み自身が,視覚の図あるいはその目印となるべく,囲みと周囲のものおよび空間との関係が操作されている。2)囲みは,垣,塀のような人工的な構造物だけではなく,盆地型地形,海,川,樹林等の自然を利用したものが存在する。3)囲みと参道との結節点である門,鳥居は,強調された視覚の図であるだけではなく,空間変化を感じさせる分節点としての役割も担う。4)囲みのパターンは求心的タイプから奥性のあるタイプへ変化した。5)以上より,宗教空間の囲みを中心とした景観デザインは,外側にいる人間が,知覚体験上,容易に内部を聖域として認識し宗教的感動を得るように,ものともの,ものと空間との関係が操作されるということの上に成立しており,囲み自身は絶対的に存在するというよりも,柔軟性のある,体験者の心理に訴えるものであったと言える。
- 日本デザイン学会の論文
- 1987-07-31
著者
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