カリキュラムの充実と将来への展望 : ドイツの音楽教育を体験して
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概要
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我が国の音楽大学を卒業する学生のうち、職業演奏家の道に進む者は一部に限られている。しかし、ステージでの演奏は、心を豊かにし、精神を高みへと導く営みである。演奏者は、作曲家への畏敬のもと、作品をどのように表現したいのかを明らかにし聴衆に伝える。その行為を通じて自分自身の魂の声を感じ取り、自分自身との対話を極める。こうした理由から、ステージでの演奏体験は、プロの演奏家を志す者にのみではなく、すべての学生にとって非常に有意義である。教育機関としての音楽大学に求められる役割は、すべての学生がステージで自分の演奏を披露し、上達させることのできる環境を与えることである。音楽大学は、学生の自発性を養い、彼らに秘められた可能性と独自性をステージ上で育て、引き出していく場所である必要がある。本稿では、筆者がドイツへの留学、ゼミナールへの参加等を通じて得られた経験をふまえ、我が国の音楽大学のカリキュラムのさらなる発展に向けた提案を目指したい。