要介護時のケア実態とケア選好 : ジェンダーとライフコースの視点からの事例分析
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概要
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本研究の目的は、(1)フォーマル・ケア(FC)とインフォーマル・ケア(IC)組み合わせの実態、(2)夫・息子によるケア(3)介護の受け手と担い手のケア選好を中心に、ジェンダーとライフコースの視点から要介護時のケア実態と選好について探索的に分析することである。調査対象はN県C市の地域在住の要支援・介護高齢者(11事例、うち女性が8事例)とその主介護者である。事例分析の結果、(1)介護者の健康状況などによりFCとICの多様な組み合わせの実態があり、時間的変化も考慮すべきこと、(2)退職後などのライフコースにおけるタイミングが関連しジェンダー役割にとらわれずに夫や息子によるケアが行なわれる側面があること、(3)受け手と担い手のケア選好の違いや、適応的選好となることからケア選好把握に困難が伴うことがわかった。分析方法などの課題はあるが、本研究は要介護時のケア実態とケア選好を把握し、FCとICのあり方を議論することが、利用者の主体性を尊重したケアマネジメント実践に重要なことを示したといえるだろう。
- 埼玉学園大学の論文