社会変動についての経営史的考察-日本における戦後史研究の視座-
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概要
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経営史学がアメリカに誕生したのは20世紀初頭であった。アメリカの経済発展は、19世紀末から急速に進み、20世紀に入ると革新的巨大企業が産業の各分野で成立した。チャンドラー(Alfred D. Chandler, Jr.)による事業部制の成立史の研究『経営戦略と組織』は有名である。1)巨大企業のマネジメント機能を担う大量の専門経営者・管理者を必要とする時代の到来は、その人材を育成するための高等教育機関を必要とした。そうした社会的要請に応えるため、ハーバード大学経営学部大学院の拡充が図られ、経営学関連科目の整備が経済学体系を基本として進められていった。経営学における理論・歴史・政策の学問的三位一体を実現するために、経営史学の構想が検討され始める。企業の成立・発展の歴史的過程を内部から経営学の視点で捉える試みが,グラス教授を中心とするグループによりなされていくこととなる。20年に及ぶ試行錯誤の中から経営管理活動を中心に歴史的過程を分析する手法が確立されていった。本稿では、経営史研究の原点に立ち返り、先達者が目指した研究目的と分析的手法確立のための過程を再確認しながら、経営史研究の発展に多少なりとも寄与できる手法的発見の可能性を願いつつ考察を加えた試論である。
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