グローバル市場の混迷と突破の戦略設計-国内外両ねらい投資の条件と限界-
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概要
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企業の戦略設計には、企業がめざす経営目標、ミッション、さらにはドメイン(事業領域)を定めて、その実行の前提条件である機会や脅威の事業環境を予測・分析して代替戦略を選択し、加えて、そうした戦略を遂行する企業力があるのかどうか、どんな補完が必要かを同定することに、作業の基本がある。こうした一連の手順を経て戦略の選択を決断し、資源の集中投入を時間的展開による経営計画としてまとめ上げる。日本企業が現在置かれている状況には、この基本作業で複合した要因を統合しつつ代替案を選択するに際し、あれもこれも重なり合った不確実な展開に切り込んでいく、複雑かつ難度の高いグローバル化時代に特有の事情がある。グローバル化が浸透し、それに付随するいわゆる大競争には、国内から世界に及ぶ広がりとイノベーションをもって応じる対処の必要が、常態化している。 いったい何を材料に、どんな戦略でグローバル市場に対処するか。その前に、海外進出を支える国内の事業基盤と内需市場を拠り所(Last Resort)に先方の将来性、自社の企業力なり経営資源の蓄積度を評定して、海外に資源を再配分する力量があるのかどうか確認する必要がある。それが危ういからこそ海外に出るのだという論法は、一見妥当なようでも、自らの企業力を冷静に直視して海外投資を決断するのが、結局は経済合理性に適うはずである。 経営のさまざまな問題が内外共に厳しく問われる中で、グローバル市場の競争条件には、在来の原則にも堅持に値するものがあっておかしくない。これまでの常識で対処できない事態の、いわゆるパラダイムの転換に適応するには、戦略設計の構築こそ要(かなめ)であろう。近年設立急の先端技術センター、イノベーション研究センターは、技術・経営革新を研究テーマに掲げている。そうした対応の断片を取り上げ、グローバル化に対処する方向性を明確にしたい。テーマはいずれも急を要するが、閉塞突破に向かって今後も追究を期する。
著者
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