戦後復興期の中小企業問題
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概要
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戦後実施された重要産業復興策は大企業体制確立のための「原始的蓄積政策」であり、これによる中小企業の資材難・資金難が戦後最初の中小企業問題であった。朝鮮戦争をきっかけに大企業は資本蓄積を急速に進め、大企業体制を再確立した。これとともに大企業体制に起因する中小企業問題が発生した。下請代金支払遅延、大企業カルテルによる原料高・製品安などの収奪問題、収奪問題と大企業への融資集中による資金難、大企業の中小企業分野進出による市場問題が発生した。このような中小企業問題は大企業体制が確立している先進国では共通に見られるが、日本では低賃金基盤に基づく中小企業間の過当競争が著しく、中小企業問題が深刻化し、二重構造問題と呼ばれるように、中小企業と大企業の間で生産性・賃金に関し、大きな格差が発生した。中小企業問題が壁となり、中小企業は物的生産性、付加価値率とも上昇させるのが困難となり、低賃金に依存する「問題中小企業」の厚い堆積ができた。ただし、高度成長期に発展した量産型中小企業の先触れとなる輸出軽機械工業のような革新的中小企業も現れたが、この分析は次の機会とする。
- 2011-03-20