「日系カナダ人のディアスポラ-Joy Kogawa's Obasan」
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概要
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Joy KogawaのObasanは第二次世界大戦の最中の日系カナダ人の強制収容体験を描いた最初の本格的な小説である。本稿では、家族の分断や離散を経験した日系カナダ人のディアスポラの記憶-集団的記憶と小説の主人公の沈黙の背後にある抑圧された記憶とを結びつけるものを明らかにする。それは戦争によって家族から引き離された主人公の精神的な探求の旅、すなわちアイデンティティの探求を通してこれまで忘却されてきた、あるいは語ることのできない記憶を蘇らせるのである。グローバル化していく現代、多くの人々がさまざまな理由で国境を越えて行き来しているが、人種・民族の軋轢、文化変容の問題、文化的差異をめぐる葛藤など社会問題化しているなかで、Kogawaの小説は大きな役割を果たすであろう。
- 2009-12-23