里親に関する研究の展望と課題 : 1998年〜2008年までの国内文献から
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概要
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これまでの、わが国の里親研究の数は少なく、特に実証的な研究の少なさが指摘されている。そこで、里親研究の今後の課題を展望することを目的とし、1998年〜2008年までのわが国の里親研究の動向を概観した。その結果、1998年以降に里親研究の数が増加し、特に質的研究の増加が顕著になったことが示された。さらに、研究協力者に元委託児童や現在の委託児童も含まれるようになり、当事者を重視した研究が発表されている。また、研究主題も多様化している。一方で、委託児童の実親を対象とした研究や、里親制度と施設制度との関係を主題とした研究はほとんど進んでいない。さらに、社会科学的視点に立脚した社会的規定要因や政策過程の本質的な研究が少ないといえる。今後の里親研究には、(1)里親・施設・児童相談所の連携、(2)実親の生活問題と里親家庭との関係、(3)里親制度をめぐる社会的規定要因との関連、(4)政策決定の過程への批判的視点、などの課題があるといえる。
- 名古屋市立大学の論文
- 2009-12-23