溝つき円柱まわりの流動特性と溝形状の最適設計

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一様流中に置かれた円柱まわりの流れにおいて,抗力があるレイノルズ数Re において急激に減少することは良く知られている.この現象は滑面円柱の場合,レイノルズ数がRe =3 × 105 付近で著しく抗力が低減するが,円柱表面に表面粗さや溝をつけることにより,かなり低いレイノルズ数でもこのような現象が起こる.このような現象は,流れにさらされる構造物すべてが対象となり,電線に作用する抗力を減少させるために開発された低風圧電線や配管内突起構造物への利用など,工学的にも非常に重要なものである.この現象の基本的な研究として表面粗さをつけた円柱まわりの流れは多くの実験的な研究が報告されている.また,計算でも部分的に円柱表面に突起をつけているものや表面全体にわたって縦方向に沢山の溝を設けているものが報告されているが,溝深さや溝数および溝形状を変化させて,実験および計算による系統的な研究はほとんどないようである.筆者らはこれまで周方向に等間隔に断面形状が円弧形や三角形の溝をつけ,溝深さ,溝数,溝形状などを変化させて風洞による抗力測定,表面圧力測定,円柱まわりの流速測定や油膜法による可視化実験およびRNG k- ε 乱流モデルを用いた数値解析を行ってきた.その結果,溝深さが大きくなるほど臨界領域は,より低いレイノルズ数領域に移り,最小抗力係数は高くなる.溝数が大きくなるほど臨界領域は,より低いレイノルズ数領域に移り,最小抗力係数は溝数によらず約0.6 となる.三角形溝は,円弧形溝つき円柱より抗力係数CD が臨界点から超臨界,極超臨界領域の範囲で約11%,滑面円柱に比べ約33%小さくなり,さらに三角形溝の角部および直線部に丸みをつけた溝では,円弧形溝に比べ,約20%,滑面円柱に比べて約40%減少することがわかった.また,レイノルズ数Re と溝深さおよび溝数の関係のグラフより,設定された条件における最適な溝深さと溝数を設計する方法を示した.
2011-03-31

溝つき円柱まわりの流動特性と溝形状の最適設計

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