精神看護学教員の実習指導をめぐる体験 : 教員が困惑する看護学生の特徴と学生とのインタラクション
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概要
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精神看護学教員の実習指導をめぐる体験と、教員が困惑する学生の傾向および教員を取り巻く人間関係のありようを明らかにすることを目的とした。教員のピア・グループを計27回実施し、そこで語られた内容を、質的帰納的に分析した。延べ参加者数は84名であった。グループでは、指導で困惑した学生について多く語られた。それらの学生は、「自己中心的」で、教員の「評価を気にする傾向」を持ち「共感性が低い」といった自己愛的傾向を示していた。学生の中には、自傷行為のある者や、精神疾患と診断された者もいたことから、外傷的な体験を積み重ねる中で自己愛も傷つき、それが学生の特徴を形成していると考えた。その結果、教員の患者に関心を寄せて欲しいという願いは破られるため、教員は共感疲労を起こし自己愛を傷つけられていた。教員の自己評価の導入、受験生獲得競争への教員参加、教員としての感情規則がこれを助長していた。学生を結節点として患者と教員の感情に対称性が起こることも明らかになった。