慢性精神分裂病患者の服薬行動に影響を与える因子とその関連性について
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概要
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本研究は、慢性精神分裂病患者が服薬行動において、どのように病気と薬を認識し、薬の作用・副作用を体感し、退院後の希望する生活像をもっているかという3つの側面から、その服薬行動を明らかにすることを目的とした帰納的・質的研究である。対象者は精神分裂病の診断後、経口薬の治療を開始し、1年以上経過した男性患者8名とした。データ収集の方法として、研究者作成の病気と薬の作用・副作用の認識と体感、退院後の希望する生活を聞く質問群から構成される質問紙を用い、半構成的に、自由回答方式の面接を30分程度行った。データ分析の結果、服薬行動に病気の認識の有無と程度、発症からの年数、薬の作用感・副作用感、退院後の希望する生活が相互に影響を与えあっていることが明らかにされた。またそれらの関係性から、退院後どのように服薬行動が継続されていくのかという観点から、拒否型・努力型・意欲型の3つの態度が抽出された。また本研究では、これら3つの態度は発病からの時間的経過と平行して、拒否型→努力型→意欲型の順に変化をしていた。さらに服薬行動に影響を与えると思われるその他の因子として、家族のサポート・教育効果が挙げられた。以上の結果に服薬態度と影響因子との関連から考察を加えた。最後に、本研究の結果に対し、オレムのセルフケア理論の観点から、看護援助への示唆を述べ、さらに本研究の限界、研究課題を明らかにした。
- 1994-06-01