思春期不登校症例の看護援助に関する研究
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概要
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本研究は思春期不登校症例の成長発達を促す看護援助を明らかにする目的で行った。テスト恐怖を訴え、学校を長期欠席している思春期の女子患児1名に対し、面接・遊戯療法を基本とした援助を行い、精神力動的な視点から患児の持つ問題の中核的な意味、患児の成長発達を促進した要因、及び患児の自我の発達過程と生活適応拡大との関連について検討した。その結果、学校をめぐるとらわれが心理的に親から離脱できないでいる依存感情と絡んで、親から取り入れた価値観によって起こっていることが明らかになった。その問題を解決するには患児の苦悩感情や様々な気づきを共有する自我支持的な看護の働きかけと、患児が自分の内的な体験の意味を充分にみつめることができる「時間と空間の確保」は有効であり、新たな自己形成が促された。更に症例の自己認識の安定化に伴って、外界知覚と現実認識の能力が高まることは、親密な仲間作りや学校生活の適応・拡大といった社会生活行動の安定化に向かわせることが明らかになった。
- 日本精神保健看護学会の論文
- 1994-06-01