看護系大学生の「5月病」とsocial support networkの実態について
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概要
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本研究では、看護系大学生の「5月病」とsocial support network の実態を調査し、その関係を探索した。「5月病」はジャーナリズムの造語であるが、主として大学新入生が示す急性の同一性拡散状態である。またこれは大学入学によるsocial support network の欠如が引金になっている。従い、E.H.Eriksonの自我同一性理論とR.L.Kahnのsocial support network理論を研究の概念枠組とした。「5月病」は5〜6月と、9〜10月におこりやすいことから、調査は6月時、9月時の2回にわたって、質問紙調査を行った。回答は無記名で、関東近郊の大学は回収箱で、地方の大学は個人別に郵送で回収した。研究対象者は、看護系6大学の1、2年生で、対象数は6月時が320名、9月時が227名だった。その結果は次の通りである。1.看護系大学生の「5月病」は、2年生の9月時で最も得点が高く、1年生の6月時が最も低かった。2.看護系大学生のsocial support networkは、6月、9月時とも1年生が2年生より多くsocal supportをうけていた。また、時期、学年を経るごとに、第1層(身内の層)のサイズが大きくなり、第2層(親密層)、第3層(友人層)のサイズが小さくなる傾向がみられた。3.social supportが「5月病」に影響するかどうかは、時期、学年によって異なるが1、2年生とも9月時の「5月病」高得点群に第1層のsosial supportが有意に影響していた。これらのことから、看護系大学生の「5月病」は、一般大学生の「5月病」とは異なった傾向を示すことがわかってきた。従い、これらの結果を青年後期の発達課題と看護系大学教育カリキュラムの特殊性という視点から一般大学生と比較しながら考察を行った。
- 日本精神保健看護学会の論文
- 1992-06-15