韓国語における可能表現の意味特徴と用法 : 日本語の可能表現を手掛かりとして
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概要
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本稿では、可能表現の日韓対照研究の準備的考察として、日本語の可能表現を手掛かりとしながら、韓国語の可能表現の意味特徴とその用法について考察を行った。「可能の生起条件」の違いに注目し、可能表現の意味を大きく「能力可能」と「状況可能」に分けて、韓国語の可能形式「ha-l swu issta / epsta」「ha-l cwul alta / moluta」「moshata / ha-ci moshata」の間の意味、用法の違いや重なりについて考察し、次の結果を得た。1 「ha-l cwul alta / moluta」は、もっぱら動作主の内的条件による「能力可能」、特に「動作実現のための知識や技能を持っている(持っていない)」という意味を表すのに対し、「ha-l swu issta / epsta」は、動作主の内的条件による「能力可能」や動作主の外的条件による「状況可能」も表しうる。2 「ha-l swu issta / epsta」と「moshata / ha-ci moshata」とでは、基本的に前者がポテンシャルな可能・不可能を表しやすいのに対し、「moshata / ha-ci moshata」はアクチュアルな非実現を表しやすい。韓国語の可能表現は「可能の生起条件」や「出来事の種類」(「ポテンシャル」か「アクチュアル」か)によって異なる可能形式を用いる点で、日本語の可能表現とは大きく異なる。韓国語母語話者に対する日本語教育においては、日本語の可能表現が韓国語のさまざまな可能表現に対応しうることを理解させることが重要であり、韓国語の可能表現に対応させる形で用例を示す必要がある。
- 2010-07-23
著者
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