タイの消費者信用市場
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アジア諸国における消費者信用市場の発展およびその潜在性に対する期待は高まる一方であり、日本企業も同市場へ進出して久しい。それにもかかわらず、アジアの消費者信用市場を対象として行われた学術的調査・研究は乏しく、一部の国に関して少数の研究例があるものの、各国の詳細な状況を共通のフレームワークに基づいて捉え、比較を通して国別の消費者信用ビジネスモデルを分析した研究例は存在しない。そのような研究を実現するには、それぞれの国について(1)マクロ環境、(2)市場環境、(3)主要プレイヤーの状況、(4)関連法律、(5)消費者信用市場のためのインフラ、(6)資金調達、(7)審査、(8)債権回収方法、(9)主要顧客などに関するデータを収集する必要がある。本稿ではその第一歩として、タイの消費者信用市場を詳細に解説した。タイの消費者信用市場は、(1)クレジットカード、(2)住宅ローン、(3)ハイヤーパーチェス、(4)パーソナルローンの各市場が開けている。主要なプレイヤーの種類は、大きく分けて3種類あり、1つは地場銀行、すなわちタイ資本の銀行、2つめはHSBCやシティバンクといった外資系の銀行、3つめはノンバンクであり、ここにイオンクレジットやアコムの子会社であるEASY BUYが区分される。2004年の統計では各市場の規模は次のようになる。クレジットカードの発行枚数は864万枚、そのうちの50%をノンバンクが発行している。ハイヤーパーチェスやパーソナルローンに関する統計は不完全であるが、ファイナンス・カンパニーのハイヤーパーチェス残高は1,753億バーツ。また、パーソナルローンの市場規模は、残高ベースで200億バーツに及ぶと推定されている。
- パーソナルファイナンス学会の論文
- 2006-08-31