アメリカにおけるFamily Financial Managementに関する研究動向
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概要
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本稿では、ヒラ博士(Dr.Tahira K.Hira)の研究から、米国における家族の金銭管理(Family Financial Management)に関する研究動向を把握する。1982年から2001年までに学術誌で発表されたヒラ博士の47論文のうち、家族の金銭管理に直接関連する2つの類型((1)金銭管理と満足、(2)消費者破産、クレジットカードの利用、および金融問題に関する家族の社会経済的特性)について、刊行年、著者の関係(単著か共著かなど)、共通するデータ等の項目別にまとめた。「満足」というキーワードは、「金銭管理と満足」のカテゴリーに分類した21論文のうち13タイトルで使用されている。このカテゴリーでは3つのデータが用いられており、どのデータでも必ず満足という側面から分析されていることから、ヒラ博士と共同研究者による研究では満足が重要なキーワードの1つであることがわかった。さらに、満足度を増大させることが家族の財政状況において重要だと指摘している。つまり、家族の財政的な満足金銭管理の技術の向上には関係があり、高い満足度は金銭管理者に余裕をもって家計管理のできる状況をもたらすという。つまり、家族の財政的な満足と金銭管理の技術の向上は関係があり、高い満足度は金銭管理者に余裕をもって家計管理ができる状況をもたらすという。満足との関わりでは、貯蓄の重要性も検討されている。貯蓄が財政的な満足度に大きな影響を与えているとことを専門家は念頭におき、消費者には貯蓄の習慣を促した上で、収入対債務の割合のコントロールを奨励すべきだと示唆している。ヒラ博士の研究論文では、調査結果で得られた知見をもとにした具体的な提言が散見される。ファイナンシャル・カウンセラーや教育者として働く専門家が、家族生活についてより深く理解ができるよう実際的な「手助け」をすることで、結果的に研究成果が家族生活の改善にフィードバックされている。世帯の金銭管理者とそのカウンセラーが財政的な問題点を明らかにし、目標設定と、その目標を具体的に実現するまでの計画づくりをする上で研究成果が役立っている。家庭生活を営む上で家計管理は重要な側面である。したがって、これまで収入の確保に目を向けがちであった日本の社会福祉学の研究者は、私も含めて、消費過程にも目を向け、家計管理の領域にもっと注意を払うべきであろう。
- パーソナルファイナンス学会の論文
- 2004-09-30
著者
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