個人信用情報の処理に関する同意文言の法的意義
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概要
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個人の情報を収集・利用するにあたっては、個人情報保護を図るため、情報主体からの「同意」を求めることが基本的な命題となっている。いわゆる個人信用情報に関しては、その利用の必要性等から、この命題を個人情報一般と同列に適用できるか否か、同意に関する個人情報保護の一般理論か個人信用情報処理の場面においてどのように受容されるのかが検討される必要がある。本稿では、同意ということばの多義性に着目し、「同意」の一般的な法律的意義を明らかにした上で、わが国の個人信用情報システムの特徴について分析し、個人信用情報の収集・利用における「同意」の意義について考察する。さらに、現行の同意文言のあり方についていくつかの問題点を指摘し、その望ましいあり方について提言を行う。個人情報処理において情報主体の同意取得を求める考え方は、情報主体の個人情報を他者が処理することはそもそも違法なものととらえる考え方に根ざし、同意はその違法性を阻却するものとして位置づけられている。しかし、消費者に対する与信に伴って行われる個人信用情報処理は、適正与信の実現等の目的のもとに構築された閉鎖的システムを用いて行われている等の点において、右個人情報一般の処理における同意取得の問題とは、その前提条件を必ずしも同じくしない。個人情報の処理においては、単に違法性阻却の観点だけではなく、情報の利用との引換において与信が行われるという対価性の契機に着目する必要があり、同意については、かかる観点から、契約的関係を発生させる一つの意思表示として、契約法理の適用をも併せて考えるべきである。
- パーソナルファイナンス学会の論文
- 2003-08-08