英語習得における知識と運用に関する研究 : VO厳密隣接性を視点として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,英語の特性である動詞と目的語の「厳密隣接性」の習得を普遍文法理論によって立てた仮説のもとに,文法力,言語知識(正解度)および言語運用(反応時間)の3種類の要因に分けて調査し,その結果,厳密隣接性習得を前提にした仮説とは異なる結果,すなわち動詞と目的語の間に介入する副詞語句が多ければ正解度は下がり,かつ反応時間が余分にかかるという結果を得た。このことは何よりも,厳密隣接性に関わるパラメータ再設定は予想したほど成功しておらず,特に日本人英語学習者の文法力下位群は,大学生になってもその習得が完全でないことを示している。同時に,本調査の結果は,言語習得過程に関する研究は「言語知識」のみならず「言語運用」というものもそのモデルに加えるべきであることを示しており,日本の英語教育において知識だけではなく,英語の処理・判断の反応時間を重視した指導・評価法を考案する必要があるとする,日本の英語教育における改革の方向の一端を示唆している。
- 日本教科教育学会の論文
- 2002-03-30