日本人英語学習者の語彙処理の方法 : 意味認知を中心に
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概要
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教室環境で6年間英語の授業を受け,目標言語の知識を持っていながら,著しく熟達度レベルの低い英語学習者を本稿では疑似初心者(false beginners)と呼ぶ。彼等の語彙処理の特異性を明かにするために,疑似初心者と同年齢で英語熟達度の高い大学1年生のデータと比較した。分析結果から,日本語を母語とする英語学習者が学習発達段階を順調に辿るには,言語学習の第一歩である語彙処理の自動性が必須条件であることを証明する。また不規則語の音読・書き取りと意味理解の実験結果から,被験者が綴りと発音が一致しない不規則語を規則的に発音すると,語彙処理過程で意味認知の経路が抑制されている可能性があることを明かにする。また,綴り学習ができていない場合には,音韻情報が意味へのアクセスを助けていると考えられ,この結果から英語授業での音韻指導の重要性を指摘し,音声を介在しない読み書き中心の外国語授業は学習者の健全な第二言語習得に影響を及ぼしていることを提言する。
- 2000-09-30