「地歴統合」の構成原理と国民意識形成の論理 : 第三次朝鮮教育令下に於ける四年制尋常小学校教科書『国史地理』の分析的検討
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概要
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本稿の目的は,『国史地理』の内容構成原理を析出し,そこに見られる国民意識形成の論理を解明することにある。そのために,(1)「地歴統合」の方法,(2)国史教材の要素と構成方法,(3)地理教材の要素と構成方法,を究明し,国民意識の形成がどのように目指されていたかを明らかにした。それは次の三点に要約される。(1)「地歴統合」は,国史中心の年代史的構成を取りながら,地理的教材を相関的に取り入れた形でなされている。それは,国家の発展と国土の拡大が同時になされてきた傾向性をわからせるとともに,その趨勢を維持することが国民の使命であることを認識させるためであった。(2)国史教材の場合,従来の人物中心の構成原理を改め,有機体としての国家の発展過程を直接的に示した構成になっている。(3)地理教材の場合,国土全体の概観→各地方と都市の地誌→日本全体の系統地理→日本の勢力が及ぶ外国地理という構成によって,全国土の総括的認識と地理的現勢の把握ができるようになっている。
- 日本教科教育学会の論文
- 1998-12-31