アメリカにおける公民教育と社会科学教育の統合 : 市民性育成のための初等カリキュラム
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概要
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本研究の目的は,公民教育と社会科学教育とを統合する対抗社会化の原理的解明を行うことにある。公民教育は思想・態度の自主的形成を目的とするが,子どもは,社会化の過程で規範や行動様式を無批判に内面化させている。対抗社会化は,社会によって内面化を迫られる規範や行動様式を一旦は対象化することで,子どもの自主的選択を促すものである。対抗社会化の実現には,社会化のプロセス及びその実態を明らかにできる社会科学教育が不可欠である。社会化の過程を対象化するため,具体的には,社会集団の活動が営まれる多様な領域(文化,社会,地理,経済,政治など)ごとに行動様式を取り上げ,分析する。また,行動様式そのものの相対化を図るため,さまざまな規範の異なる社会集団の行動様式を取り上げ,分析する。これによって,子どもは自らの行動を制御できる度合いを高め,規範・行動様式を自主的に選択してゆけるようになると考えられる。
- 1997-03-25