イギリスにおける「本質主義」歴史教育論 : バーストン理論における歴史的説明と歴史教育
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概要
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本稿では,バーストン理論が歴史教授の意義付けをその独自性に求める「本質主義」として成立し得た根拠と,その根拠ゆえに持たざるを得ない問題点を明らかにすることを目的とする。バーストンは,歴史的事実の本質と「歴史学的説明」を理論構成の中心とする。歴史的事実の本質とは歴史学という学問の成立要因である。これに対して「歴史学的説明」は,歴史を教授する教科の成立要因であり,歴史学独自の説明である。バーストン理論が「本質主義」として成立し得たのは,歴史的事実の本質と「歴史学的説明」という歴史学の独自性を保証する要素によって根拠付けられているからである。しかしながらバーストンは,歴史教授の独自性を重視するあまり,一般法則の教育的意義を認めつつも,それを説明構造から排除する。バーストン理論は教育的意義という視点が欠落したものとなっている。
- 日本教科教育学会の論文
- 1990-07-31