幼稚園児の健康生活習慣形成に対する指導 : 自律習慣化の程度
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概要
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幼児の健康生活の課題のひとつに,その心身の発達に適した健康生活習慣を身につけることがあるが,それは単に「できるようになる(行動成熟)」ことにとどまらず,「自分から進んで実行する(自律習慣化)」にまで高めることが必要であろう。本報では,幼児の健康生活習慣の自律化の程度と,家庭と幼稚園の指導の実態を調べ,自律習慣化を促す指導の手がかりを得る,ことを研究目的とした。母親と幼稚園教諭に対する調査から得られた結果は,次の通りである。(1)健康生活習慣は年齢の増加とともに他律習慣から自律習慣に移行する傾向が見られたが,5歳児でも手洗い,歯みがき,うがいの自律化の割合が低かった。(2)起床・就寝時刻と他の健康行動との間には相関関係が見られた。(3)幼稚園の方が家庭よりも幼児の健康生活習慣の自律化程度が高かった。(4)5歳児になると,手洗い,口ゆすぎ,歯みがきの「行動のしかた」の指導率は減少した。しかし「習慣の意味づけ」の指導率の増加は見られなかった。
- 日本教科教育学会の論文
- 1986-08-31