教育生理学・序論
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概要
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教育生理学は教育学を構成している学問的階層の中で最下層に位置し,学問的階層を登りつつ教育学を説明することを志向している。主として神経生理学の知見を基に,教授-学習過程がどの神経の機能系に関するかを検討し,教授者が多因子の教授-学習過程を整理することに役立てる。また神経系の機能から教育学が見落としていた人間の機能・能力を見い出し,教科教育および教育原理を捉え直おす。上述の考え方に基づいて,本論では体育科教育の主要な3つの課題を考察した。第2章では現代の社会-教育的病理現象を大脳の新皮質-旧皮質の双方向連関の崩壊と捉えた。第3章では人脳の抑制作用が運動機能の発達におよぼす影響を考察し,学校体育では非特殊的運動能力を促進することを提案した。第4章では運動学習の神経機構から体育科教育の教授-学習過程を検討し,学齢が上がるにつれ,大脳-小脳系において,小脳性のスキル学習から大脳性の認知学習へ教育内容が移行していくことを主張した。
- 日本教科教育学会の論文
- 1985-10-01