人間性と美術教育に関する一考察(教科教育学への提言)
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概要
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個性・創造性尊重の精神は,西洋近代の人間中心思想から生み出され,戦後の美術教育を支えてきた優れた根本的指導理念でもあるが,児童生徒の人間性を培い,円満な人格形成を押し進めてゆく上で,果してこの理念の重視だけで充分であるのかどうかについて,私は実践を通して疑念を抱き,改めて様々の立場から考察を加えた。その結果,私は,個性・創造性尊重の教育の長所をわきまえ,生かしつつ,新たに人類の未来を志向する観点に立って,各人が自ら生きる意味や価値を問いかけ,物事を深く思い回らしてゆけるように育てる立場や,大自然(万物)を愛し,それとの一体感を味わえるように育てる立場を,現行の美術科教育の中に導入し,結び合わせてはどうかと考え,各教材を通して実践を試みてきた。今回,それら考察結果を述べ,新たな理念及び指導方法の導入を提起するに至った理由を明らかにする。
- 1977-10-31