教育学部における教育課程の現状と改善への一視点 : 理科を中心として
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概要
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本稿は,現在広く改善か進められつゝある教育学部の教育課程の現状を,理科とりわけ理科に関する教科専門科目を中心として分析を行なうとともに,そこでかかえている問題について若干の検討を加えようとするものである。理科に関する教科専門科目の教育内容は,学生の自然科学への関与の程度によって,中学校教員養成課程の理科専攻学生向け内容,小学校教員養成課程では理科を専攻する学生向け内容と理科を専攻しない学生向け内容の以上3つに大別して考えなければならないであろう。今日の小学校課程の教育課程においては,学生に4年間で何をどの程度与えるべきかが明確でないように思われる。そのために,学生は自分の好みを中心に勉強をし,ひいては小学校教師として必要なことを欠く結果に陥っているのではないか。このような事態をさけるために,小学校課程で理科を専攻しない学生には一般教育の自然分野の教育内容も含めた総合的な自然科学教育が必要であるし,理科を専攻する学生には他教科とのバランスも考え過度に理科の教科専門科目に力を傾注しないようにさせなければならないであろう。中学校教員養成課程においては,物理学,化学,生物学,地学それぞれの学問分野に関する知識・科学的方法などをどの程度学生に期待するかが問題となろう。具体的には,これらの4教科を平等に勉強することが良いか,特定の分野を深く勉強することが良いのかということになるが,このことに関する教師教育を主とする大学・学部における考えは多様であることが履修基準からうかがえる。教育学部の教育課程を小・中両課程に2分すると,小学校課程の教育課程は特に混乱している。したがってややもすれば等閑視されがちだった小学校課程にスポットをあてた改善が要請されるのではなかろうか。
- 日本教科教育学会の論文
- 1976-03-31