運動学習における脳波変化に関する研究 : 単極誘導法による脳波の主成分分析
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概要
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本研究は,協応動作スキル学習における運動および視覚機能をそれぞれ支配すると考えられる大脳皮質間の電気的脳内活動の差違を,因子論的立場から考察することを目的とする。被験者は,広島大学の男子学部生10名(平均年齢20才)である。脳波は,協応動作器を用いて40回円を描かせることによって導出された。電極は,それぞれ中央前頭後野(17番部位),中央後頭(19番部位),および耳(23番部位)の部位に配置し,電気的脳内活動は,安静時(30秒間),第1回遂行時,最終遂行時に測定した。脳波因子を得るために,δ,d,α_1,α_2,β_1,β_2波のパワースペクトラムを主成分分析で分析した。主な結果は次の通りである。1.遂行時における両部位間の周波数には有意差が見られるが,安静時には見られない。2.脳波因子を得るために両単極間に含まれる全変数を統合すると,抽出された因子は次のものから成っている。a.安静時においては,2つの従属因子が抽出され,β波因子とδ-θ波因子である。独立なα皮因子は17番部位から抽出される。b.第1回遂行時においては,4つの独立因子が抽出される。α_2 -β波因子とδ-θ波因子は19番部位から,β波因子とδ-θ波因子17番部位から抽出される。c.最終遂行時においては,3つの独立因子が抽出される。α_2-β波因子とδ-θ波因子19番部位から,α_2-β波因子とδ-θ波因子は17番部位から描出される。
- 日本教科教育学会の論文
- 1981-01-31