戦前の高木憲次の療育論の形成における『公的肢体不自由者福祉法』の影響
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概要
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日本における療育施設の法制化は,1947年の児童福祉法の制定によって初めて実現された.同法の制定過程において高木憲次の療育論が大きく寄与したこと,そしてその療育論の構築に高木がドイツのプロイセン州『公的肢体不自由者福祉法』および同法施行令を参考にしたことは,先行研究ではすでに言及されている.しかし,同法の具体像,全体像はまだ解明されていない.本論文では,プロイセン州『公的肢体不自由者福祉法』および同法施行令における肢体不自由児療育制度の具体像を明らかにするとともに,公的肢体不自由者福祉法および同法施行令とそこから高木が抽出したものの両者の比較検討を通じて,高木の療育論の理論的根拠の主要素が同法にあったこと,そして高木の受容は,批判的継承であったが,医療中心であるという結論に至った.
- 2008-08-31