訪問介護サービスにおけるニーズとサービスの量的不一致 : 介護保険の応益負担と給付制限をめぐって
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概要
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本研究の目的は,訪問介護サービス利用者のニーズと必要なサービス量との間に不一致が生じていることを明らかにすることである.訪問介護サービスの利用者1,570人(有効回答率37.8%)にアンケート調査を実施した結果,(1)経済的負担能力が低い世帯の場合,また要介護度が高い場合に訪問介護サービスの充足度が低くなる傾向が強い,(2)訪問介護サービスの不足は制度導入によるサービス量の増減に関係なく生じ,主な不足要因は自己負担額の抑制と支給限度額によるものである,(3)訪問介護サービスが不足する場合でも保険外サービスの利用は消極的であるが,高い要介護度や支給限度額の制限によるサービス不足の場合は保険外サービスを利用する傾向にあること等が明らかになった.訪問介護に対する利用者のニーズと提供されるサービス量には隔たりがあり,その背景には応益負担による自己負担額の増加と支給限度額による給付制限が大きく影響していた.
- 2003-11-30