薬物依存者の家族に対するソーシャルワーク : 家族自身の心理・社会的脆弱化と初期介入の試み
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概要
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薬物依存者の家族を対象とした初期介入型グループワークを立案,実施し,1998年10月より2000年3月までの18か月間(36回)における参加者の発言記録を基に,家族が直面している困難の明確化と求められる援助の検討を行った。参加者には,(1)疾病としての薬物依存に関する知識がない,(2)過剰な自責感を有する,(3)薬物使用に伴うトラブルの処理と彼らに断薬させるための全責任を家族が負うべきものと考えている,(4)問題の露見を防ぐために社会生活において孤立化するなどの共通点がみられた。これらの結果として家族自身が心理・社会的に脆弱な状態に陥っていく過程を概念化し,彼らに対する初期介入の段階における,(1)薬物依存に対する社会の認知や対応を考慮した知識の提供,(2)過剰な自責感の軽減,(3)家族自身の社会生活上の諸問題の解決支援に向けた動機づけを中核とする援助プログラムの必要性を指摘した。
- 2002-08-31