わが国の介護サービスにおける準市場の形成とその特異性
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概要
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本稿は,わが国の公的介護保険制度を準市場の原理の視角から,その形成と特質について考察する。分析の枠組みに用いた準市場の原理はルグランドらによると,供給主体と購入主体に関する市場構造の転換,情報の流通,取引費用と不確実性への配慮,動機づけ,クリームスキムの防止という条件整備により,サービスの効率性・応答性・選択性・公平性がもたらされるとする市場形態がその特徴である。それらを踏まえたうえでわが国における準市場的要素を抽出し,準市場化のための条件整備の程度とその特異性を検討した。分析の結果,公的介護保険制度における効率性は準市場原理のものとは異なり租効率性を重視したものであること,選択性は情報開示の不徹底さと監査体制の不備から限界をもち,応答性については一定の範囲で利用者に確保されているものの,保険給付の対象設定に課題があること,公平性についてはその概念を再検討する必要性を指摘することができる。
- 2002-03-31
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