対人援助業務従事者の葛藤やジレンマに関する考察 : 葛藤やジレンマの蓄積に関するモデルの構築とシミュレーションによる検証
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概要
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本稿は,対人援助業務従事者のバーンアウトを防ぐために,日常の業務のなかで生じる葛藤やジレンマの蓄積量を少なくする対策について論じた。先行諸研究から,葛藤やジレンマを蓄積させる原因を「『理想の支援自己』と『現実の支援自己』との差」と定義し,モデルを作成した。葛藤やジレンマの蓄積を防ぐ対策として,(1)「現実の支援自己」の向上,(2)「理想の支援自己」の安定化,(3)「理想の支援自己」の是正などを提示し,これらの効果についてシミュレーションを行った。その結果,「『理想の支援自己』と『現実の支援自己』との差を縮める」という視点による対策は,葛藤やジレンマの蓄積を抑制するうえで効果が期待できると思われる。また,支援者の「理想の支援自己」と「現実の支援自己」のアセスメントを行い,両者の差について検討することが効果的であると考えられる。
- 2001-08-31