9.篠津川南第1揚水機場の設計について
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概要
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北海道開発局では,昭和30年度より石狩川水域の篠津地域泥炭地開発事業を実施しているが,その事業内容は,本地域が位置・気候・水源に恵まれた農業条件を持っているにもかかわらず,地域の大部分が泥炭地であるという劣悪な土性条件の為に,次の様な目的をもって実施されている。 (i)土性状況を改良し,水田耕作可能な土性的素地を整える為に,排水路を完備し鉱質土壌を客入する。 (ii)石狩川,当別川を主水源として水源施設を計画し揚水機場及び用水路を配置し,地域全体のかんがい系統を完成する。 (iii)農業経営に必要な道路,農道網を整備し,根幹用排水事業に伴って必要な関連事業を促進する。 そして,その地域の範囲は,東南は石狩川に限られ,北は増毛山脈によって画された江別市外,3ヶ町村を含む総面積16,300町歩の地域である。(1・1図参照) 今ここに述べるのは,篠津開発事業のうち,特にかんがい用の揚水機場の設計についてである。現在すでに,月形・美原その他2ヶ所の揚水機場は完成されており,現在工事中の川南第1揚水機場は,かんがい支配面積2,481.9ha,全揚水量は普通期で8,658m^3/s,特殊期で11,293m^3/sにも及ぶ最も大きなものである。更に,従来の揚水機場は,1・2図(a)に見られるような型態のものであり,すべて土木技術者によって設計されたものであったが,川南第1揚水機場は,建築技術者の手によって,従来の型態を打破し,一つのスタンダードを造り上げたものである。1・2図(b) 建築技術者の考えた土木構造物設計の一例として参考としていただきたい。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1964-03-23