幼児・児童は危険回避行動と向社会的行動のいずれを優先させるか : 安全教育のデザインのための基礎的研究
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概要
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幼児期から児童期にかけて,危険回避行動と向社会的行動のジレンマ場面において子どもがとる方略にどのような発達過程が見られるのかについて,実験的に検討した。幼児(5〜6歳児)と児童(1・2年生)計85名を対象として,見知らぬ人(ストレンジャー)から助けを求められる場面を提示し,子どもの選択する行動を調べた。その結果,いずれの年齢群においても危険回避を優先させることが示された。ただし,この時期の子どもは,自らの欲求を優先させる傾向があることに加えて,危険認知がまだ十分でないことから,子ども自身とストレンジャーの欲求の方向性が一致している場合は,見知らぬ人について行くと回答しやすいことが明らかになった。また特に幼児においては,他者の認知におけるポジティビティ・バイアスが,ストレンジャーに「ついて行く」「道を教える」という判断と関連していることが示唆された。行動範囲が変わり,危険回避を取り巻く状況が変化する幼児期から児童期への接続期において,子どもに対しどのような安全教育がなされるべきかという観点から考察された。
- 2010-12-20
著者
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