漢字文化圏における異文化コミュニケーション : -カオス理論から見た漢字の移り変わりについて-
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概要
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最近,中国において言語文化学の分野にカオス理論即ち混沌学(中国では渾沌学)の研究が多く見られる。日本と中国の間には,何千年の交流があり,お互いに影響し合ってきた。その変化を解析することで,両国の文化の移り変わりと価値観がわかる。漢字は,朝鮮半島を経由して中国から日本へ輸入された。古代日本人は,その恩恵により,日本独特の文化を築き上げた。また,日本は遣隋使・遣唐使による輸入した漢字を熟成させ,明治維新の時代に文明開化のスローガンの中で欧米視察派遣団により,たくさんの和製漢語を創り出た。その和製漢語を中国や韓国へ逆輸出した。和製漢語を通して,中国人や韓国人は和製漢語を使った文面を通して,欧米の文明を吸収し,中国や韓国の文化の近代化に貢献した。漢字の歴史では,中国での象形文字の発明から日本への漢字の輸入までに,約千年を要し,さらに,日本が中国へ遣唐使を派遣した時代から明治維新までに約干年の歳月を経ている。従って,カオス理論で言うバタフライ現象は,およそ千年のサイクルで,日本から中国へ新しい和製漢語を送った。13億人の中国人は和製漢語を使いながら,中国国内の文盲一掃のために文字の簡略化を図った。このことは日本中国語検定試験受験者が増えるに伴い,中国語の簡略漢字の便利さとピンインの良さを認識し,やがて日本の若者層にも影響を与える日もそう遠くはないであろう。このようにして,漢字の活用は,中国から日本へ,日本から中国へという現象が生じ,カオス理論のバタフライ現象に類似している。筆者は日本の漢字の字体・字形・読み方を分析することで日本の漢字と言語文化の変遷を考察した。
著者
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