近世京都の刊行都市図に描かれた空間
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,GIS を用いて近代的な測量技術が取り入れる以前の絵図を分析する手法を提案する.分析対象は,近世京都を描いた刊行都市図である.近世期の京都の姿を描いた多くの刊行図は,京都の市街地中心あるいは,その周辺の有名な地域までが近代的な測量技術によることなく描かれている.測量図ではないために,正確な地図とは性質が異なる.しかしながら,京都の名所を違和感なく一枚の地図に収めている印象を読み手に与え,さらには案内図として用いられていた背景も考えると,一定の空間的な正確性を持っていると考えられる.本研究では測量技術を用いられずに作成された絵図を GIS の定量的な分析手法を用いて分析する.分析方法は,絵図上に描かれた地名や有名寺社が描画された場所と,現在の地図でそれらが描かれている場所とを位置座標として取得し,それらの誤差を計測することから始まる.この誤差の情報をもとに,GIS の分析機能を用いて両者の誤差を視覚化しながら検討を進める.なお,近世京都の出版図は,先行研究において時代区分がされており,本研究では,各時代の代表図を分析対象としてとりあげて比較を行い,その変化を明らかにした.
- 2009-07-18