駿河湾の波と漂砂(シンポジウム:急傾斜海岸の海洋環境と開発)
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概要
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世界的にも有数の急深湾である駿河湾の波と漂砂は,他の内湾におけるものとは極めて異なっている.大型大水深の駿河湾内では,南方向から侵入する外洋波浪が,釣鐘状をした湾の奥まで波高変化せずに直進する.そのため南方向からの入射波に関する限り,湾岸各地の波浪条件は外洋に面した海岸と同じになる.湾岸には,東海型急流河川が崩壊性の山地から大量の大粒径砂礫を流送している.海底だけでなく陸地も傾斜が急なため,三角州性の地形は発達せず,河川が山地から平野に出たところに生じた扇状地の縁がそのまま海岸となっている.海岸の大量の大粒径砂礫は湾口からの外洋波浪によって湾奥方向へと輸送され,湾奥へ伸びる大小の砂嘴を東西両岸に形成した.湾内にも関わらず作用する高波と,一方向に卓越する漂砂とは,沿岸域での各種の開発工事に多大の影響を与えている.
- 1988-08-31