プランクトン生態系と窒素・リン循環(シンポジウム:東京湾の環境回復への提言)
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概要
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夏季の東京湾の窒素とリンの循環の機構を検討した.東京湾では,(1)植物プランクトンの生長の点から見るとリンに比べ窒素が過剰であり,窒素が湾外へ流出しやすい,(2)微小な植物プランクトン及び動物プランクトンが卓越しているため糞などが沈降しにくく,上層の懸濁物質は湾外へ流出しやすい,の2つの理由で,負荷された窒素とリンは湾外へ流出しやすいと考えられた.沈降量は窒素で負荷の約20%,リンで約50%と見積られた.年間の堆積量は窒素では約5%,リンでは約10%と見積られているので,夏季に沈降した窒素やリンが底泥で分解・溶出するのか,夏季以外の時期,特に冬季に流出するものと考えられる.底質のN/P比は湾中央部で約5であるが,岸寄り及び湾口側で低くなり約1となっていて,底質中における脱窒素の可能性が考えられた.微小動物プランクトン卓越の原因解明とその漁業生産との関連が今後の課題である.
- 1991-02-28
著者
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