海底境界層における生物過程と物質循環
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概要
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ある海域の海底境界層における有機物分解速度は,物理的な溶存酸素の海底への移流・拡散量によって決まる大枠の中で,各ベントスグループ,バクテリア,そして物理化学的環境の相互作用を通して決定される.なかでも,マクロベントスの物理的環境改変による底質の水分含量の増大そして間隙水の流動増大は,近底層高濁度層の形成において重要な役割を持つことを指摘する.さらに,これまでの海底境界層における有機物分解の過程に関するモデルの紹介を行う.その多くは,直接的には生物過程を含まない拡散方程式に基づくものであるが,既に一定の標準的な方法として確立されているものと判断される.これに対し,シミュレーション技法によるモデル解析により直接的に生物過程を取り扱えないかどうかの検討を行った.そこで分子動力学が,一つの有効な方法として存在することを指摘する.
- 1990-08-31