薩南海域におけるマイワシ産卵場の形成にかかわる海洋環境(シンポジウム:気象擾乱に対する沿岸海洋の応答)
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概要
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人工衛星を用いた水温観測や係留系による測流および連絡船による水温連続観測記録を用いた近年の研究で,九州南西海域では時計回りの渦流を伴った黒潮蛇行の存在が明らかとなった.その渦流に引き込まれた九州沿岸水が黒潮蛇行によってトカラ海峡に移動し,いわゆる黒潮フロントの二重構造をもたらすことが分かった.また,トカラ海峡における沿岸水の張り出しとマイワシ卵の分布に密接な関係があることが示され,時計回りの渦流を伴った黒潮蛇行が薩南海域のマイワシ産卵場形成に関与していることが示された.しかし,トカラ海峡における沿岸水の張り出しには気象の影響をみることができなかった.これは黒潮の影響が気象の影響に比べて極めて大きいことによると考えられ,海域が異なれば,卵稚仔輸送を支配する海洋現象も異なると思われる.したがって,海域毎に卵・稚仔の輸送機構を解明してゆく必要がある.また,そのためには物理的な情報と時空間的に対応した生物情報が不可欠であり,生物情報モニターに関する技術や観測手法に関する改良・研究の強化を図ることが必要である.
- 日本海洋学会の論文
- 1989-08-31
著者
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