沿岸施設設計上の諸問題 : 8712号台風による沿岸施設災害の原因究明(シンポジウム:気象擾乱に対する沿岸海洋の応答)
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概要
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8712台風による長崎県下の沿岸施設災害は、被害規模・額共に一夜にして起こったものとしては我が国空前のものであった.発生した沖波の規模は我が国で最大級のものであったが,これによって外洋に面する港湾・漁港施設は多くの地点で被災する結果となった.中でも新長崎漁港の防波堤は被害が一番大きく,それは転倒,滑動といった第一級の被害で当時の被災形態を代表するものであった.その設計波は昭和31年のバブス台風をモデルとした30年確率波に相当し,皮肉なことに31年目にしてそれを越える波が発生し,襲来したことが最大の被災原因になった.一方,沿岸施設の断面設計上にも問題がありそうである.県内の多くの混成堤は殆ど重複波圧で設計されているが,防波堤付近の沿岸域が暴風域の中にある場合には,混成堤は衝撃砕波圧を受ける可能性があり,その対応策が十分でなかったことが指摘される.これが被災事例のように防波堤の被害を致命的なものにしたもう1つの被災原因になっているように思われる.
- 日本海洋学会の論文
- 1989-08-31
著者
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