大村湾における無酸素水塊の形成(シンポジウム:貧酸素水塊)
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概要
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大村湾は九州北西部に位置する面積320km^2の袋状湾で,主湾である佐世保湾とは狭小な2水路で連絡する.このため湾の海水収容量に見合う流出入量がなく,佐世保湾と比較して干満差は約1/3に低下,平均高潮間隔は約3時間遅れる.したがって湾水は停滞的で,夏季は成層と海底水無酸素化現象が誘起される.この湾の無酸素化現象には3つの特徴がある.1つは7.5mの水深に形成される酸素飽和層以浅層における酸素多生産と酸素多消費との変動が大きいこと,2つめは毎年のように無酸素水塊が形成されるが,大規模無酸素水塊の形成が10年間に1度ぐらいの頻度で見られること,これにより底生生物群集は壊滅的被害を受け,またこのような年にGymnodinium nagasakiense赤潮も発生する可能性があること,および,3つめは無酸素水の浮上現象が観察されることである.高さは数mに及ぶこともあるが一過性の現象であるように見受けられる.これについては規模,発生機構などの詳細はまだわかっていない.
- 日本海洋学会の論文
- 1989-02-28