人工干潟・海浜の造成の可能性(シンポジウム:海岸・河口域における環境修復・創造技術の現状と問題点)
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概要
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干潟の造成目的と干潟生態系形成の可能性とを検討した.マスコミ記事を参考に干潟造成の目的を社会通念として検討してみると,「我が国のあちこちの干潟に典型的に見られる底生生物を主体にした,安定して長続きする生態系の構築」と考えられる.そこで,屋内に干潟実験施設を構築し,付着藻や大型底生生物が最初生息していない状況から運転をした.自然海水を無処理のまま導入し,潮汐を作用させ,底泥面の干出水没を繰り返した.導入海水によって運び込まれた幼生などの加入により,1年を経ずに,典型種を中心にした干潟生態系が構築され,そこでの物質循環系が形成された.現在7年目を迎えるが,季節変動や気象変動を受けつつも,自律的に系が継続している.干潟生態系は比較的短期に加入定着が進む生物種が多く,環境変動に柔軟に追従する系であると推察された.地形づくりさえうまく行えば,造成干潟上に干潟生態系の構築は可能と思われる.
- 日本海洋学会の論文
- 2002-02-22