内湾における陸水の分散・流出過程(シンポジウム:沿岸海域における陸水の混合過程)
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概要
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浅い内湾に流入する陸水の分散過程において重要な役割を演じる,潮汐混合と密度流的流出との相互作用の問題を取り上げて,これを支配する無次元パラメーターについて論じた.具体的には,有明海・島原湾を対象として資料解析を行い,陸水の分散過程において卓越する機構が地形的条件や拡散段階によってどのように推移するものか検討した.湾の奥部や開放型沿岸の海岸線に流入した陸水がどのように広がり希釈されるかと言う問題は,古くからの問題であると同時に,環境汚染と関連して適切な把握と予測を求められている新しい問題である.従来は,流動の実体がよくわかっていないため,例えば速水・宇野木,平野,BOWDENらに見られるように,一層モデル,または,二層モデルの拡散式だけで解析のなされることが多かった.この取り扱いにおいて用いられる混合係数や拡散係数は規模や成層状態によって大きく変化する.そのパラメーター化が1950年代から65年頃までに行われた.しかし,予測の計算モデルにおいて,力学的状況を無視し,力学的な場との相互作用を取り扱わない所に問題を残していた.HANSENや和田らは,塩分保存式と運動量保存式の両者を連立させた基本式系を用いて,それぞれ理論解析,及び,数値シミュレーションを行っている.力学をも考慮している点で格段の進歩である.ただし,外力や幾何学的境界条件は単純にしか与えることができないため,巨視的,平均的状態以上のことは予測できない状況にある.現在は,上記の諸研究を基礎として,鉛直・水平循環流,境目等を含む中間規模の力学的素過程を分析的に理解し,それらを種々のシアー分散的交流能力として評価する段階にあると思われる.
- 1974-08-31
著者
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